ある

自宅界隈を歩くのが日課になっている。

目にするものは、同じ道を通っていると、

なに一つ変わらないように見える。

だけど、時間が流れ、季節がある日本で、

今、ソメイヨシノがほぼ満開を迎えようとしている。

いつもの道がいつもの道でなくなると気づく。

どこに住んでいて誰なのかわからない叔父様が、

「今日は風がきついね」と声をかけてくださる。

必要なものはもう既に私の中にある。